音楽家が株式会社を立てるまで|会社設立ノススメ②〜会社設立 その1〜

会社を設立する

音楽家のための会員制サロン Salon d’Art サロン・ダールの母体として株式会社Sotoを設立したことをきっかけに、一連のシリーズとしてお送りしている「会社設立ノススメ」。

前回の記事では、「会社にするかどうかを見極める」という内容でお話させていただきました。

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第2回となる今回は、「会社を立てることのメリット」と「具体的な設立の一歩目」について書いてみたいと思います。

会社を立てるメリット

会社にはいろいろな規模があります。

トヨタやソニーといったいわゆる「大企業」と呼ばれる企業のほか、日本の企業のなんと99%以上を占めるという中小企業。

大きい小さいの差はあれど、会社を立ててることはつまり「法人」という「人」を生み出して、それを存続させる行為。

きちんと稼がせ続ける会社でなければいずれ倒産してしまいます。

前回の記事ではこの「稼がせ続けなければならない」ということを、お金になりづらいクラシック音楽業界でのデメリットとしての紹介しましたが、実は会社設立にとってこの点が最大の「メリット」でもあります。

会社を立てることは「お金をきちんと生む」という覚悟を決めること。

クラシック音楽業界にそういった覚悟を持った会社が増えれば、業界は確実に活性化しますよね。

そう。私たちもそう思ったからこそ会社「株式会社Soto」を設立しました。

早く行きたいなら一人で行け。遠くに行きたいならみんなで行け。

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.

これ元は、アフリカのことわざだそうです。

移住民族であった、アフリカの人らしいことわざですよね。広大なアフリカの大地、一人で行けば確かに早く次の目的地に辿り着けるかもしれませんが、それでは物資も不足、狩りをするにも人手が足りない…。

遠くに行きたいのならみんなで一緒に行ったほうがいい。

 

基本的に会社が生まれるとその会社に対して“求心力”のようなものが生まれます。

これは、やはり「稼ぐ」というエネルギーを会社が持ち始めることによるもの。

会社であれば、法人格として認められることで個人の時より信頼性や安定性が高まり、個人ではできなかった規模のビジネスを展開することができるというのは会社設立する上での大きなメリットです。

会社設立のフェーズⅠ

ステップ①先達の存在は大きい。

会社を立てるというのはなんだかすごく仰々しいことのように思えます。

実際に私もそうでした。

そんな中、私たちが会社を立てるにあたって、非常にありがたい存在、先輩がいらっしゃいました。

私たちの設立のちょうど一年前に、既に一人会社(マクロ法人)を設立した会社設立の先輩、

それが、当サロン内でも紹介させていただいた音響エンジニアの元木一成氏による会社「株式会社Rewz Lab」です。

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やはり、すぐ身近に会社を立てた方がいたことで、「会社を立てる」ということに対する具体的なイメージを持ちやすく、設立にあたってもたくさんのアドバイスをいただくことができました。

現在は、一人社長の会社も増えています。

どういう分野で仕事を行うにあたっても共通ですが、自分がその道を進みたいのなら、すでにその道を行っている「先達」に出会うことはとても大切。

会社設立にあたっては、法人登記した先輩方を探して知り合っておくといいかもしれません。

 

ステップ②設立にはマネーフォワードかフリーを使おう。

さて、ここからはいよいよ具体的な会社設立の流れについて書いていきたいと思います。

会社設立をする!と決めたものの何から手をつけたらいいか分からない。

ここで、非常に役立つのが二大会社設立支援会計クラウドソフトである

マネーフォワード(MoneyForward) と freee

です。

既にご存知の方も多いかもしれませんが、これまでは税理士に頼むか、個人でやる場合も手書きでおこなわなければならなかった個人の確定申告や会社の決算処理をグッと「誰でもできる」ものにしてくれた会計ソフト。

どちらも本来は「決算」をするためのソフトなのですが、ありがたいことに両社から「会社設立支援サービス」が提供されています。

マネーフォワードの場合は:マネーフォワードクラウド会社設立

freeeの場合は:freee会社設立

というそれぞれ非常に分かりやすいサービス名で提供されています。

当社(株式会社Soto)はマネーフォワードを使って設立をしましたが、freeeで会社設立された方のお話も聞いたところ、どちらを使ってもステップ通りに進めれば(思ったより簡単に)会社設立ができます。

では、実際に何を基準に選んだらいいか?

ということですが、これはシンプルに

設立後のメインの会計ソフトとしてどちらを使うか

が「答え」になります。

2大会計ソフトなだけに、両社の比較記事は世の中にたくさんあるので、そちらも参考にするといいと思いますが、私なりに感じたイメージをざっくりとした比較として置いておきます。

MF(マネーフォワード)

操作性:どちらかというと“専門的”。ある程度税務の知識があって「勘定科目」「仕訳」といった言葉の意味がわかる人にとっては使いやすい。

金額:一見高そうに見えるが、必要な部分を網羅しているので最終的にはfreeeより割安な印象。

freee

操作性:会計がわからない人でも使える新しいタイプのインターフェース。税務に関して詳しくなくても、直感的に操作できる。こだわりもないという場合はこちらの方がおすすめ。

金額:一見安そうに見えるが、会社設立後に必ず必要になる部分が別のソフトになっており、それらも購入することになるためトータルのコストはMF(マネーフォワード)より高くなる印象。

まとめると、MF(マネーフォワード)は会計知識を身につけつつとにかくコストを押さえたい人向け。

freeeは、会計の知識や勉強は最低限にして直感的に操作したい人向け。

といった感じでしょうか。

同じ会計ソフトでありながら、その使い勝手は意外と“大きく違う”ので、自分に合った方を選ぶ必要があります。

1つ注意したいこととしては、

MF(マネーフォワード)・freeeともに会社設立したらうちの会計ソフトを使ってね!

ということが前提で、会社設立後も同社の会計サービスを使うことで設立にかかる費用が無料になる。というビジネスモデルになっています。

なので、原則会社設立→会計ソフト契約が一貫することになりますので、最初の段階できちんと自分に合ったものを選んで欲しいと思います。

なお、どちらも最初は無料で試せるので、たとえば個人の仮アカウントなどをつくって実際に触ってみるのも良いかもしれません。

私の場合

最後に、参考になるかは分かりませんが、私自身の話を載せておきます。

私は、個人事業主時代、確定申告に関してコストが安かったMF(マネーフォワード)を選んで青色申告を行なうことにしました。

しかし、最初にMF(マネーフォワード)のシステム画面を見た時は正直全く単語の意味や使い方が分からず、また会計の知識もなさすぎて全てインターネットで調べながらのスタートでした。

理解するのには結構な時間がかかりましたが、ただ、そこである程度の会計に関する知識を学べべことで、今となってはMF(マネーフォワード)の方が使いやすいという感覚です。(freeeも少し触ってみましたが、簡単にしている分「あれ?これできないの?」という部分がありました)

結果として、個人事業主の確定申告を行なっていた流れと、総合的なコストの安さから判断して、法人設立もMF(マネーフォワード)で行うことにし、会社設立もMF(マネーフォワード)会社設立を選んで登記を行いました。

次回は、実際にMF(マネーフォワード)会社設立を使って登記申請をしていくステップ「法人印作成」に入ってみたいと思います。

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